1. 娘からのおすすめ
以前、図書館に行った娘が、ティーンズコーナーで見つけて読んでいた本です。帰宅するなり夢中になって読みふけり、読み終わった娘が私のところへやってきて、こう言いました。
「ママ、この本ほんとうに読んでほしい。1ページも飛ばさずに読んでほしい。」
普段の私は、自宅でパソコンに向かう作業が多く、なかなか娘と並んでゆっくり本を読む時間を作れずにいます。小学生の高学年で、もう「読み聞かせ」をすることもなくなり、本はそれぞれで読むのが当たり前。
でも、娘は二日連続で「ねえ、読んでくれた?」と私が読むのを待っていました。そこまで言うなら・・・と、正直なところ「本そのものへの興味」というよりは、「娘がそこまで勧めるなら」という気持ちで、ページを開きました。

2. スープがつなぐ人のやさしさ
その本が、ベン・デイヴィスさんの『ぼくたちのスープ運動 小さな思いやりが世界を変える!』(評論社)です。
なかなか本を手にとらない私に娘はこの話のあらすじを「それで、その子がね、」と何度も説明していたのですが、その時も時々言葉に詰まっていました。
そして、「やっぱりママが自分で読んで。」と言っていたのです。
娘がそこまで言うのならと私が読み進めるうち、私は何度もページをめくる手を止め、溢れてくる涙を拭うことになりました。
物語は、病気や引越しで孤独を感じていた少年が、ホームレスの男性に温かいスープを渡したことをきっかけに、地域全体を巻き込む大きな運動を起こしていくお話です。
人のやさしさに涙をし、自分の心が穏やかになっている。そんなあたたかい本でした。

3. 「1ページも飛ばさずに」
この本は、小難しいことは何も書いていない漫画のように簡単に読める小説です。それでも、娘が 「1ページも飛ばさずに」と飛ばし読みが習慣の私に注意したのは、登場人物達に起こる出来事がどれも一つひとつ大事だったのだと読みながら私は気づきました。私の心の隅々までこの話を届けたかった、娘なりの気遣いだったのだと思います。
読み終えた後、娘に「勧めてくれてありがとう」と伝えました。 親子で同じ物語を共有し、同じ温度で感想を言い合える。そんな幸せを運んできてくれた一冊です。