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関東出身の夫が、誰よりも愛知県民になっていた。

結婚した夫は、私と同じ関東出身です。けれど私の中では、彼に「THE愛知」という称号を与えています。

私が思う「THE愛知」には、いくつか条件があります。

まず、勉強でもスポーツでも仕事でも、基本的に真面目。地域や会社のために働くことを、それほど苦にしない。そして車を運転すれば燃費を気にし、買い物をすれば値段と品質を見比べ、生活のあらゆる場面で「それはコスパがいいのか」と考える。

派手さより実用性。言葉より行動。無駄はなるべく省き、やるべきことはきちんとやる。

そんな人を、私は勝手に「THE愛知さん」と呼んでいます。

夫は就職を機に愛知へやって来ました。だから、愛知で暮らした年月は私よりずっと長い。今では私から見ると、すっかり愛知県民です。

ただ、知り合った夏、東京で会ったときには、

「やっぱり愛知は東京とは全然違うよ」

なんて言っていました。

そのときは、関東出身者同士、なんとなく「そうだよね」と話していた気がします。

でも今の私は知っています。

たぶん夫は、東京より愛知にいるほうが圧倒的に暮らしやすい。

愛知にいる夫は、本当によく動きます。

会社ではしっかり働き、家に帰れば家事をする。子どもの習い事があれば車で送迎し、休日も何かしら動いています。

我が家では料理も夫の担当です。献立を考え、スーパーへ買い出しに行き、下ごしらえをし、料理を作り、片付けまでします。

横で見ている私は、ときどき、

「よくそんなに働けるなあ」

と感心します。

ところが東京へ行くと、その夫が急に弱ります。

人混みの中を歩き、電車を乗り換え、大きな駅の構内を移動し、目的の建物の中でもまた歩く。

ただそれだけで、かなり疲れてしまうらしい。

東京や千葉の実家に戻る頃には、ぐったりしています。

愛知では一日中働いて、車であちこち走り回っている人が、東京では数回電車を乗り換えただけで疲れている。

私はその姿を見るたびに、少しおかしくなります。

東京は便利です。電車も多いし、お店も人も情報も、何でもあります。

でも、便利な場所が、その人にとって暮らしやすい場所とは限らないのかもしれません。

車で移動し、家族のために動き、仕事をして、地域の中で暮らす。そして、ガソリン代や燃費や買い物の値段を気にしながら、堅実に毎日を回していく。

そんな愛知の生活のリズムが、夫には妙に合っています。

夫自身はきっと認めないでしょう。

今でも「自分は関東出身」という意識があると思います。

でも私は思っています。

生まれは関東。

育ちも関東。

そして完成したのは、愛知さんでした。

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